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相続空き家の特例3000万円控除は準備が9割!

2024.07.20

こんにちは。税理士の太田圭子です。

今回は改正により適用期限が令和9年12月31日まで延長となった相続空き家の3000万円特別控除について解説いたします。要件をクリアすれば最大で約600万円の減税を受けることができる制度です。相続した空き家が昭和56年5月31日以前に建築されたものなら適用できる可能性があります。

 

1、空き家の3000万円控除とは

親が亡くなったあとに空き家となった自宅を、相続人が売却して利益が発生した場合に、利益から3000万円(相続人が3人以上の場合は各人2000万円)までを控除することができる制度です。この特例を受けることにより最大で約600万円の税金が軽減されることになります。

 

2、ハードルは高め

この特例を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。

(1)対象となる空き家の要件

①昭和56年5月31日以前に建築された戸建てであること。(マンションなどの区分所有不可)

②亡くなる直前において亡くなった方以外に同居している人がいなかったこと。 

(亡くなった方が老人ホームなどに入所していた場合も一定要件を満たせば適用可能)

 

⑵  主な売却時の要件

①売った人は空き家と敷地の両方を相続していること。

②亡くなってから3年経過する年の年末までに売却すること。

③売却までの間、賃貸したり事業や居住のために使用していないこと。

④空き家は耐震リフォームするか、解体して更地にすること。
※ 改正前は解体は売却前に売主が行うことが条件でしたが令和6年1月1日以降の譲渡から条件が緩和され、売却後に買主が翌年の2月15日までの間に家屋全部を取り壊した場合も認められることとなりました。

⑤売却代金が1億円以下であること。

 

(2)市区町村に確認書を発行してもらう必要がある。

上記要件を満たしていることを市区町村が確認したことを証明する書類となるわけですが、空き家の確認のために水道の停止を証明するための書類や、場合によっては解体予定が明記された広告チラシなど状況に応じた添付書類が求められるため余裕をもって準備が必要です。申請は税理士に依頼することもできますので、事前に相談してみましょう。

 

3、空き家の解体が要!

この制度は、旧耐震基準のもとで建築された空き家の増加抑制を目的としたもののため、上記のような耐震改修または取壊しが要件とされています。このような相続空き家の売却については、耐震改修後の築古住宅として売却するより、更地で売却した方が買い手候補も探しやすく、売値も高値になることが見込まれます。改正により解体は買主で行っても良いこととなりましたが、売却の翌年2月までに更地にすることを確約してもらう必要がある上、解体費用を売却額からディスカウントされますので有利な価額での譲渡、そして特例を確実に受けるために自身で解体工事を行うことも検討しましょう。但し解体後スムーズに売却ができなければ困りますので、空き家の解体から売却までトータルにサポートしてくれる事業者を選ぶことが肝心です。

 

4、うっかり適用忘れの救済は無い。

特例を受けることができることを知らず、又は忘れてしまって売却時の確定申告を提出してしまったらやり直すことができるのでしょうか?残念ながら申告期限が過ぎた後でのやり直しは認められません。「当初申告要件」といって税額軽減措置などの制度の適用を受けるためには、当初の申告において「制度の適用を受ける旨の意思表示」を要求する規定があるためです。適用もれは勿体ない!必ず事前に確認しましょう。

 

5、最後に

メリット絶大の空き家特例ですが、事前準備が肝心です。売却可能性のある空き家の相続が起こったら、遺産分割の方法や、特例を受けるための注意事項など事前に専門家に相談しましょう。

 

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筆者紹介

太田 圭子
税理士法人田﨑・太田事務所
税理士

大事な家族を亡くしてから10カ月という期間で申告しなければならない相続税。改正により今後相続税の申告をしなければならない人は増える見込みです。相続税は生前の対策、遺産分割の方法、そして財産の評価方法によって大きく税金が変わってきます。そして相続は相続税だけではなく、財産を相続した人のその後の所得税や消費税、そして無くなった方が法人経営者だった場合などには法人税にも大きく影響を及ぼします。専門家として相続にまつわる税金の悩みを解決するのが私の仕事です。不安を感じている方からお話を聞いて最善の解決策を御提案できれば幸いです。メールマガジンではできるだけ専門用語を使わずわかりやすくて身近な税に関する情報を記事にしていこうと思います。

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