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2022年中に実行しないと不利!?今年実行を考えるべきこと2選

2022.01.01

新年あけましておめでとうございます。
本年も福岡相続サポートセンターをよろしくお願いいたします。
皆様にとって、この一年が実り多き一年になりますことをお祈り申し上げます。

暦が変わり、今年の相続対策は何をしていこうかと考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そんな皆様に、今年実行を考えるべきこと2選をお伝えします。

結論はこの2つです。

① 2019年に老人ホーム等に入所された方は、マイホームの売却を検討すべき年
② 2018年3月1日から2019年2月28日までの間に相続が発生し、不動産や株式を取得された方で、相続税を申告納付された方は、その際に取得した不動産や株式の売却を検討すべき年

順番に解説していきます。
 

① 2019年に老人ホームに入所された方は、マイホームの売却を検討すべき年

2019年1月1日から12月31日までの間に、ご自宅を離れ老人ホーム等に入所された方は、ご自宅の売却を検討すべき年になります。 
理由は、来年以降に売却すると今年売却したのと比べて手残り額が下がる可能性があるためです。

それはなぜでしょうか。自宅(居住用財産)を売った時には、譲渡所得(=売却時のもうけ)から最高3,000万円まで控除できるという特例があるのです。俗に「マイホーム特例」と言います。実はこの特例の適用要件に住まなくなった自宅も含まれているのですが、その期限が「マイホームに住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」とあるのです。

つまり2019年に老人ホーム等に入られた方で自宅の売却を検討されている方は、今年の年末までがこの特例の期限となるのです。マイホームを5年以上所有されていた場合の譲渡所得の税率は約20%ですから、3,000万円×20%で最大約600万円分の税額軽減効果があります。この特例の効果を発揮するケースは、自宅を安い購入価格で取得したケースや、自宅が先祖伝来のものである、もしくは買い入れた時期が古いなどのため購入価格が分からないようなケースです。特にこの場合の譲渡所得の計算では、取得費(その自宅をいくらで購入したかという価格)は、売却価格の5%しか算入できないという規定があるため、譲渡所得税がかかりやすくなります。

仮にマイホームを3,000万円で売却できた場合の取得価格を計算します。実際は細かな計算が必要ですが、分かりやすくするためにシンプルにします。取得価格は3,000万円×5%で150万円となり、3,000万円-150万円の2,850万円が譲渡所得、その20%にあたる570万円がおおよその譲渡所得税です。一方、このマイホーム特例を使用した場合は、3,000万円から特別控除3,000万円を引きますので、譲渡所得はゼロ。つまり譲渡所得税はかからないということになります。

最大600万円の税額軽減効果がある大きな特例です。2019年の1月から12月までの間に老人ホームに入られたなど、自宅を離れられた方で売却を検討している方は、今年がそのラストチャンスとなります。

② 2018年3月1日から2019年2月28日までの間に相続が発生し、不動産や株式を取得された方で、相続税を申告納付された方は、その際に取得した不動産や株式の売却を検討すべき年

これも税金を計算する際の特例です、2018年3月1日から2019年2月28日までの間にお亡くなりになった方がいらっしゃって、その時に相続した「不動産」や「株式」などの財産を今年中に売却した場合に、支払った相続税額のうち一定金額を、売却した財産の取得費に入れることができます。

例えばこういうケースです。2018年5月1日に亡くなった父の賃貸マンションを長男が取得しました。同年10月1日に相続税の申告納付が完了。その際に支払った相続税のうち、賃貸マンションに該当する部分は800万円でした。今年その賃貸マンションを1億円で売却するとします。この場合、譲渡所得税を計算する際に、売却価格の1億円から「元々の購入価格+2018年に支払った相続税800万円」を取得費として差し引くことができるのです。所有期間5年超の不動産の譲渡所得税の税率は約20%ですから、800万円×20%の160万円分の税額軽減効果が生じます。決して小さくない効果ですね。

そしてこの特例を受けるための要件が「相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること」なのです。つまり今年中にこの特例の適用ができるのは、2018年3月1日から2019年2月28日までの間にお亡くなりになった方から不動産や株式を相続された方ということになります。

ただし2018年3月1日に亡くなった方は、2022年1月1日までに譲渡が必要ということになり、現実的に特例の適用は難しいでしょう。ご自身のケースで特例の適用が可能かどうか、是非確認してみてください。

一般的には、財産取得時に相続税率が高かった方ほどその効果は大きいです。相続で得た不動産や株式の売却を考えているけどまだ行動できていないという方は、今年がそれを考える時期なのかもしれないですね。

 

いずれも相続対策の中の税制優遇の話題でした。
2022年のはじまりに、今年中に期限が到来する制度を確認してみてはいかがでしょうか。

 

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筆者紹介

植野 直孝
福岡相続サポートセンター
上級相続支援コンサルタント

熊本県出身。
2006年に(株)三好不動産に入社。営業・店舗の責任者を経て2014年より相続コーディネート事業に従事。税理士・弁護士・司法書士などの専門家と連携し、お客様の問題解決に向けて日々奔走する。相続相談の他、生命保険・損害保険・投資信託等の金融商品や不動産経営などFPコンサルタントとしても幅広く活躍。年間の相談件数は約300件。
不動産の現場で相続が”争族”になっていくのを目の当たりにした経験から、生前対策の重要性について説く。

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